Book Lounge Academia(ブック・ラウンジ・アカデミア)
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第65回 石岡丈昇さんインタビュー『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』
今回は2023年に青土社より出版された『タイミングの社会学〜ディテールを書くエスノグラフィー』の著者である石岡丈昇さんにお話を伺いました。インタビュアーは鶴見太郎さんです。 【著作概要】フィールドワークが世界の見方を変える。舞台は、マニラの貧困地区。突然試合が中止だと告げられるボクサー、自宅が急に目の前で破壊されるスラム街の住人、常に主人の顔色を窺う家事労働者…。何が起こるかわからない明日を待ち、絶えざる今を生きのびるとはどういうことか。かれらが生きる時間のディテールをともに目撃し、ともに書くための理論と
第64回 小磯隆広さんインタビュー『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』
今回は2020年に錦正社より出版された『日本海軍と東アジア国際政治〜中国をめぐる対英米政策と戦略』の著者である小磯隆広さんにお話を伺いました。インタビュアーは中立悠紀さんです。 【著作概要】本書は、昭和戦前期、日本陸軍と双璧をなす軍事組織であった日本海軍の満洲事変から日米開戦に至るまでの期間における、対英米観、対英米政策、そして戦略(作戦方針と用兵思想)を分析したものである。 1930年代政治外交史、国際政治史研究は非常に膨大な蓄積がされてきた。そのような研究領域において、本書は重要な歴史像を提示する成
第63回 崎濱紗奈さんインタビュー『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』
今回は2022年に法政大学出版局より出版された『伊波普猷の政治と哲学〜日琉同祖論再読』の著者である崎濱紗奈さんにお話を伺いました。インタビュアーは二井彬緒さんです。 【著作概要】本書は、近代沖縄を代表する思想家・伊波普猷(1876-1947)のテクスト分析を通して、その「政治」と「哲学」の可能性と限界を明らかにするものである。 伊波の思想は「日琉同祖論」として知られ、これまで様々な解釈がなされてきた。大日本帝国が推進した同化主義を正当化する言説として厳しく批判されてきた一方で、帝国下における「琉球・沖縄
第62回 辻井敦大さんインタビュー『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』
今回は2023年に晃洋書房より出版された『墓の建立と継承〜「家」の解体と祭祀の永続性をめぐる社会学』の著者である辻井敦大さんにお話を伺いました。インタビュアーは林凌さんです。 【著作概要】「家」なき時代において、墓を建て、それを継承することの背景には、何があるのだろうか?本書は、社会的アクターとしての地方自治体・石材店・仏教寺院に注目し、それらが参与することによって、墓を建て、継承するという営みの意味が変容する過程を、社会学の観点から明らかにしたものである。 【ゲスト:辻井敦大プロフィール】1993年
第61回 林凌さんインタビュー『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』
今回は2023年に以文社より出版された『〈消費者〉の誕生〜近代日本における消費者主権の系譜と新自由主義』の著者である林凌さんにお話を伺いました。インタビュアーは辻井敦大さんです。 【著作概要】戦後消費社会の出現とともに語られる〈消費者〉は、戦前期からすでに知識人の構想のなかに蠢いていた。戦後の生活協同組合を支える論理を生み出した賀川豊彦・奥むめお・本位田祥男、流通行政の礎を築いた向井鹿松・谷口吉彦・福田敬太郎らの戦前・戦中期の思想=活動に肉薄し、近代日本に通底する社会改良主体/庇護対象としての〈消費者〉
第60回 松村淳さんインタビュー『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』
今回は2023年に晃洋書房より出版された『愛されるコモンズをつくる〜街場の建築家たちの挑戦』の著者である松村淳さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。 【著作概要】本書は、コロナ禍によって人々が住宅の内と外の双方に居場所を失っているという状況を契機に、現代日本における身体と空間を問い直すことを目的とした。その際、排除/包摂という議論ではなく、「疎外」という視角から光を当てた。そうすることで、排除/包摂論からは見えてこない、人々と居場所の多様な状況を検討していくことが目的である。 公園や
第59回 相川裕亮さんインタビュー『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』
今回は2022年に新教出版社より出版された『ビリー・グラハムと「神の下の国家」アメリカ〜福音伝道者の政治性』の著者である相川裕亮さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】国葬にされた、ただ一人の牧師。アイゼンハワーからオバマに至る歴代大統領と親密な関係を結び、「アメリカの牧師」として彼らの政策に有形無形の影響を及ぼしたビリー・グラハムの、主に冷戦下70年代までの思想と行動を<福音伝道者>という観点から解明した俊英の力作。<預言者>でも<祭司>でもないこの独特な宗教者の類型は
第58回 湯川勇人さんインタビュー『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』
今回は2022年に千倉書房より出版された『外務省と日本外交の1930年代〜東アジア新秩序構想の模索と挫折』の著者である湯川勇人さんにお話を伺いました。インタビュアーは倉本敬司さんです。 【著作概要】1930年代、東アジアの新秩序建設に邁進する日本で、それに強く反対する米国との関係維持を目標として外務官僚たちの苦闘と挫折の歴史を描く。第39回大平正芳記念賞〈正賞〉受賞(2023年2月) 【ゲスト:湯川勇人プロフィール】広島大学大学院社会科学研究科准教授。1988年生まれ。甲南大学卒業、神戸大学大学院法学
第57回 梁仁實さんインタビュー『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』
今回は2022年に法政大学出版局より出版された『朝鮮映画の時代〜帝国日本が創造した植民地表象』の著者である梁仁實さんにお話を伺いました。インタビュアーは丁智恵さんです。 【著作概要】本著は植民地朝鮮で作られた映画が内地日本でどのように受容されていたのか、そして内地日本にて誰がどのようにそれらを観ていたのかについて考察したものである。さらに、内地日本で製作した朝鮮を映した映像も併せて、いかに朝鮮像が創り出されていたのか、に注目した。またその過程で在日朝鮮人が朝鮮映画を見る観客であり、製作者であったことも明
第56回 保明綾さんインタビュー『Science for Governing Japan’s Population』
今回は2023年にCambridge University Pressより出版された『Science for Governing Japan’s Population』の著者である保明綾さんにお話を伺いました。インタビュアーは藤本大士さんです。 【著作概要】現在の日本は「2040年問題」等の言葉にもあるように「人口危機」に晒されていると言われており、政府はこれら人口問題に関し何らかの措置を施すことを期待されている。しかし、そもそも「人口」がなぜ「危機」として捉えられるようになったのだろうか。また、なぜ政